佐藤樹一郎の経歴・学歴と生い立ち|通産官僚から大分市長、大分県知事まで

佐藤樹一郎
ひと目でわかるプロフィール 佐藤樹一郎
さとう きいちろう
出身地
大分県大分市
初当選
2015年(大分市長選挙)
最終学歴
東京大学経済学部
主な前職
会社員、官僚・国家公務員
政界入り
民間企業から
生年月日 1957年11月28日

佐藤樹一郎氏は、大分市に生まれ、国の産業行政、海外勤務、民間企業、地方自治と、立場を変えながら仕事を重ねてきた政治家です。

学生時代の少林寺拳法から、通商産業省での国内外の仕事、故郷へ戻って初めて選挙に挑むまでの経緯、大分市政から県政へ活動範囲を広げた歩みを順にたどります。

佐藤樹一郎氏を理解する3つのポイント
  1. 大学時代は少林寺拳法部で練習を重ね、二段を取得しました。
  2. 通商産業省で産業・エネルギー・地域政策に携わり、海外勤務も経験しました。
  3. 退官後の民間企業勤務を経て故郷へ戻り、市政から県政へ活動範囲を広げました。

佐藤樹一郎の生い立ち|大分市生まれ、大分雄城台高校から東京大学へ

佐藤樹一郎氏は1957年11月28日、大分県大分市に生まれました。1976年に大分県立大分雄城台高等学校を卒業し、東京大学へ進学。1980年3月に経済学部を卒業しています。

大学では、少林寺拳法部に入部しました。進学を機に武道を始めようと考え、複数の武道系部活動を見学したうえで選んだものでした。

その中で少林寺拳法がいちばん面白そうだった。それで入部したのです。

出典:少林寺拳法オンラインマガジン「苦しい練習や大会の緊張感を乗り越えた自信が、いまの自分を支えてくれる。」(2016年8月29日)

練習は週4回。1年生の歓迎合宿では千葉県の岩井海岸へ行き、朝のランニングから午前・午後の練習まで続く日程を経験しました。1、2年生の春には少林寺拳法本部の合宿にも参加し、卒業後も段位は二段のまま残っています。

少林寺拳法で学んだ「己れこそ己れの寄るべ」という言葉を、後に自身の座右の銘として挙げています。苦しい局面ほどこの言葉を思い出すと語っており、学生時代の経験を長く記憶にとどめています。

佐藤樹一郎の学歴|東京大学卒業後、通商産業省で産業行政の現場へ

学歴一覧佐藤樹一郎の学校歴
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区分学校名学部・専攻現在の偏差値・難易度備考
高校大分県立大分雄城台高等学校―58(2026年度版)―
大学東京大学経済学部67.5(文科二類・2027年度参考)卒業

※偏差値・難易度は佐藤氏の在学当時ではなく現在の目安です。

大学卒業直後の1980年4月、通商産業省に入省しました。最初の配属は立地公害局公害防止企画課。その後、基礎化学品、統計、経済企画庁、資源エネルギー、車両、原子力安全、工業技術など複数の分野を経験しています。

1995年には在サンフランシスコ日本国総領事館領事となり、海外勤務を経験しました。帰国後はアルコール行政を担当し、2000年には近畿通商産業局総務企画部長へ。中央省庁だけでなく、地域の経済産業行政にも携わるようになります。

2002年には資源エネルギー庁の省エネルギー対策課長、2004年には経済産業省産業技術環境局の産業技術政策課長を務めました。エネルギー政策と産業技術政策の双方で課長職を経験しています。

さらに中小企業基盤整備機構総務部長を経て、2006年に中部経済産業局長、2007年に経済産業研究所副所長、2009年に中小企業庁次長へ進みました。

2010年からはJETROニューヨーク事務所長を務めます。国内の産業政策、省エネルギー、中小企業支援、地方経済、海外勤務まで、通商・産業行政の中で担当分野と勤務地を何度も変えてきました。

人生年表 佐藤樹一郎さんの歩み
1957年11月28日
大分県大分市に生まれる
1976年
大分県立大分雄城台高等学校を卒業
1980年3月
東京大学経済学部を卒業
在学中は少林寺拳法部に所属
1980年4月
通商産業省に入省
1995年5月
在サンフランシスコ日本国総領事館領事に就任
2002年7月
資源エネルギー庁省エネルギー対策課長に就任
2006年1月
中部経済産業局長に就任
2007年7月
経済産業研究所副所長に就任
2009年
中小企業庁次長に就任
2010年
JETROニューヨーク事務所長に就任
2012年
JSR株式会社に入社
2015年4月26日
大分市長選挙で初当選
2019年4月21日
大分市長選挙で再選
2期目
2023年3月2日
大分市長を辞職
大分県知事選挙への出馬に伴う辞職
2023年4月9日
大分県知事選挙で初当選
2023年4月28日
大分県知事に就任
1期目

佐藤樹一郎の経歴|退官後はJSRへ、故郷の市長選を初めて意識する

長く続いた官僚生活の後、2012年には化学メーカーのJSR株式会社へ入社しました。行政から民間企業へ立場を移した時期です。

一方、本人は若い頃から大分市長を目指していたわけではありません。経済産業省では地域振興の仕事にも携わっていたため、大分の発展について考えることはあったものの、市長選への挑戦を具体的に考えたのは退官後でした。

地元の同級生や経済界の関係者から市長選への出馬を促されたことが、具体的な検討の始まりでした。故郷の発展に関わりたいという考えと選挙の時期が重なり、立候補を決めています。

2015年、大分市長選に初出馬して初当選

2015年4月26日の大分市長選挙が、佐藤氏にとって初めての選挙でした。新人2人による選挙で91,200票を獲得し、大分市長に初当選しました。

当選直後、市政へ入る際の姿勢を端的に表した言葉が残っています。

職員と一緒に市民のために汗を流したい。

出典:大分建設新聞「佐藤 樹一郎さん(大分市長)」(2015年4月30日)

市長就任後は、市役所の仕事を市民生活に直結する「現場」の仕事と捉え、住民のニーズを行政組織の改善につなげる考えを示しました。農林水産分野の組織を改めて整え、子ども分野を担当する組織の準備も進めています。

国の政策を扱ってきた時代とは異なり、市役所では証明書、ごみ、福祉、教育、インフラ、都市計画など、住民の日常生活と直接接する行政を担うことになりました。

市長2期8年、豊予海峡ルートの調査を積み重ねる

2019年4月の大分市長選挙で再選し、2期目に入りました。市長在任中に継続して取り組んだテーマの一つが、九州と四国を道路や鉄道で結ぶ豊予海峡ルートです。

大分市は2016年度から2021年度まで6年間にわたって、ルートの必要性、橋梁・トンネルの整備費用、経済・社会効果、道路・鉄道整備、経済波及効果、民間資金活用、代替・補完効果、事業性などを調査しました。

2017年には「未来を創造する豊予海峡ルート」をテーマにシンポジウムを開催。研究者、経済界、愛媛県側の自治体関係者らと議論し、市単独の道路計画ではなく、九州と四国を結ぶ広域ネットワークとして検討を続けました。

大分市長を辞し、2023年の大分県知事選へ

市長2期目の途中だった2023年3月2日、大分市長を辞職しました。次に挑んだのが、20年ぶりに新しい知事を選ぶことになった大分県知事選挙です。

4月9日の投開票で271,400票を獲得し、大分県知事選に初当選。4月28日に大分県知事へ就任しました。

初日の就任会見では、市長時代とは対象地域も行政分野も広がる県政に臨み、県民との関係をどう築くかについて次のように述べています。

県民の皆様と対話を重ねながら、県政の発展のために日々全力で取り組んでまいりたい

出典:大分県「佐藤新知事就任記者会見」(2023年4月28日)

就任時に挙げた課題には人口減少や少子高齢化がありました。また、大分県内18市町村、国、経済界、労働界、NPOなどとの連携を県政運営の方法として掲げました。

「対話」を基礎にビジョン2024を策定

知事就任後、県政全体の方向を定める新しい長期総合計画の策定に着手しました。約1年以上の検討を経て、2024年に「安心・元気・未来創造ビジョン2024 ~新しいおおいたの共創~」を策定しています。

計画づくりで佐藤氏が強調したのは、政策を行政内部だけで組み立てないことでした。

県民一人ひとりの声が政策の原点

出典:大分県「令和6年10月1日知事定例会見」(2024年10月1日)

策定過程では県民会議に加え、市町村長、地域住民、関係団体、高校生などから意見を聴取しました。計画では県政の柱を「安心」「元気」「未来創造」の3つに整理し、同時にデジタル化などを盛り込んだ行財政改革推進計画も策定しています。

人口減少対策と子育て支援

県政で大きな課題として扱ってきたのが人口減少です。就任時から出生数の減少、若者の定着、移住、高齢化を県と市町村が一緒に取り組む課題として位置づけました。

具体策の一つとして、大分県は2024年4月からこども医療費助成の県の対象を高校生年代まで拡充しました。これは市町村が行う医療費助成を県が支援し、子育て世帯の経済的負担を軽くする仕組みです。

子どもだけでなく、高齢者、障がいのある人への支援や、女性が働きながら子育てしやすい環境づくりも長期計画の「安心」に含めています。人口の数字だけを追うのではなく、暮らし続けられる条件を複数の政策分野から整える構成です。

遠隔教育と夜間中学で地域による教育格差へ対応

教育では、居住地域によって受講できる授業の選択肢が狭まらないよう、遠隔教育を拡充しました。2025年4月には大分上野丘高校内に大分県教育庁遠隔教育配信センターを開設し、地域の高校へ数学や英語などの授業を配信しています。

2026年度には遠隔教育の実施校を4校から8校へ拡大。さらに3年をかけ、大分市内以外の普通科へ広げる方針を示しました。同じ2026年4月には夜間中学も開校しています。

何より未来を支える教育をしっかりしていきたいです。

出典:大分県「令和8年4月1日知事定例会見」(2026年4月1日)

難関大学を目指す生徒向けの授業や入試問題の解説なども遠隔配信に組み込み、遠距離通学や下宿をしなくても地域の高校で幅広い授業を受けられる環境づくりを進めています。

選挙歴 佐藤樹一郎の選挙歴
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年月日選挙選挙区・地域所属結果得票・順位
大分市長選挙
定数:1 比例復活:該当なし
新人2人による選挙。
大分市 無所属 当選 91,200票 1位
大分市長選挙
定数:1 比例復活:該当なし
現職として2期目の当選。
大分市 無所属 当選 89,421票 1位
大分県知事選挙
定数:1 比例復活:該当なし
大分市長を辞職して出馬。安達澄氏との新人同士の選挙を制した。
大分県 無所属 当選 271,400票 1位

企業誘致、賃上げ、GXを産業政策の柱に

産業分野では企業誘致、中小企業支援、DX、脱炭素などを並行して進めています。県が公表した2024年度の企業誘致実績は50件で、新規雇用者549人、設備投資額603億円でした。

物価上昇局面では、企業の生産性向上や価格転嫁を通じて賃上げを継続できる環境づくりを課題に設定。2026年度にも物価と賃金の好循環、産業立地、農業の高収益化などを進める方針を示しています。

もう一つの柱が大分コンビナートの脱炭素化です。佐藤氏が会長を務める「グリーン・コンビナートおおいた」推進会議では、企業、大分市、大分大学などが参加し、水素などの次世代エネルギーやCO2の分離・回収・利活用・貯留を含む産業GXを検討しています。

2026年度には、水素等の供給基地化やCO2関連技術につながる事業への県独自補助も実施され、構想から具体的な投資支援へ政策が進んでいます。

豊予海峡から新幹線まで、広域交通網を県政課題へ

大分市長時代から調査を続けた豊予海峡ルートは、知事就任後も継続しました。ただし県政では、それ単独ではなく、東九州新幹線、四国新幹線、九州横断新幹線、中九州横断道路などを含む広域交通ネットワーク全体として扱う範囲を広げています。

佐藤氏は、九州の半導体・農業などの産業集積と大都市圏を複数の経路で結ぶことを重視し、大分と四国を結ぶルートを国土の多重性を高める構想として位置づけています。

一方、豊予海峡ルートは大規模な事業費を伴います。2026年の県調査では海峡部の道路トンネルをナトム工法で整備する場合の試算として9,300億円を示し、PFIなど民間資金の活用可能性についても検討を始めました。

大分市時代に示した4,580億円の試算はシールド工法、県の9,300億円の試算はナトム工法を前提としており、工法や構造などの条件が異なります。

2026年6月の県公式会見では、広域交通網について、基本計画路線から整備計画路線への新幹線格上げ、豊予海峡ルートや豊後伊予道路、中九州横断道路、中津日田道路、国際航空路線を具体的な課題として挙げました。

政治人生の転機 佐藤樹一郎の政治人生の転機
01
2015年4月
官僚・民間企業から大分市長へ
大分市長選に初めて立候補し、91,200票を得て初当選。選挙で公職に就く政治家へ転じた。
なぜ転機なのか 通商産業省、JETRO、JSRでの仕事から、故郷・大分の自治体経営を担う立場へ進んだため。
02
2023年3月~4月
大分市政から大分県政へ
大分市長を辞職し、大分県知事選に出馬。4月9日に初当選し、4月28日に知事へ就任した。
なぜ転機なのか 8年間担った一市の行政から、18市町村を含む県全域の広域行政を担う立場へ移ったため。

佐藤樹一郎氏の記者会見をテーマ別に見る

一次情報を深掘り

記事本文で扱ったテーマを、本人の記者会見まで深掘りできます。まずは代表的な発言を表示し、関連発言があるテーマだけ追加で確認できます。

人口減少と出生数

移住・若者・子育て世帯

広域交通ネットワーク

※ 内容の要点は公式一次情報をもとに整理しています。正確な文脈・全文は各リンク先の公式資料から確認できます。

映像で見る佐藤樹一郎氏

大分県公式チャンネルで公開されている定例記者会見です。本人が自ら政策や県政課題を説明する様子を長尺の映像で確認できます。

佐藤樹一郎氏の現在情報

2026年9月11日 時点
現在の公職 大分県知事
現在の所属 無所属
選挙区・選出地域 大分県
現在の期・任期 大分県知事1期目
現在の主な役職
「グリーン・コンビナートおおいた」推進会議会長 東九州新幹線鉄道建設促進期成会副会長

長期総合計画「安心・元気・未来創造ビジョン2024」を軸に、人口減少・子育て、教育、産業・GX、広域交通網などの県政課題を進めています。

参考・出典 この記事で参照した主な資料
公式・一次情報
選挙・公的資料
報道・インタビュー
その他の参考資料

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