斎藤元彦氏は、総務省の官僚として全国各地の地方行政を経験した後、2021年に兵庫県知事へ初当選した政治家です。
神戸市須磨区で過ごした子ども時代から、愛光中学校・高校での寮生活、東京大学での挫折と奨学金、佐渡市や東日本大震災の被災地での仕事を経て、兵庫県政へたどり着くまでには、いくつもの節目がありました。
- 神戸・須磨で育ち、愛光中高と東京大学を経て、地方自治を担う総務省へ進みました。
- 佐渡市、飯舘村、宮城県、大阪府などで地方行政・災害対応・財政運営を経験し、2021年に兵庫県知事へ初当選しました。
- 2024年の不信任決議で一度失職した後、出直し知事選で再選し、2026年8月時点では第54代兵庫県知事を務めています。
斎藤元彦の生い立ち|神戸市須磨区で育った幼少期とケミカルシューズの家業
斎藤元彦氏は1977年11月15日、兵庫県神戸市に生まれ、須磨区で育ちました。小学校は神戸市立若宮小学校です。
当時暮らしていた衣掛町は須磨海岸や須磨水族園に近い地域でした。本人の回想では、祖父が長田区と須磨区でケミカルシューズ製造業を営んでおり、子どもの頃から経営の厳しさを耳にしていたといいます。
神戸の地場産業を身近に見て育ったことを、斎藤氏自身は政治を志す原点として語っています。
小さい頃から、祖父が経営の厳しさ・大変さについて話しているのを耳にしました。
出典:さいとう元彦公式ウェブサイト「幼少期に抱いた原点」(公開日記載なし)
小学校卒業後は愛媛県松山市の愛光中学校へ進学しました。本人によると、第一志望だった六甲中学校の受験では合格できず、親元を離れて愛光へ進むことになったそうです。
愛光中学校・愛光高等学校では6年間の寮生活を送りました。本人は後年、この時期を「本当に楽しい6年間」だったと振り返っており、寮で一緒に過ごした同級生とは卒業後も交流が続いているとしています。
斎藤元彦の学歴|東京大学で経験した留年と家計悪化、奨学金
| 区分 | 学校名 | 学部・専攻 | 現在の偏差値・難易度 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 神戸市立若宮小学校 | ― | ― | 兵庫県神戸市 |
| 中学校 | 愛光中学校 | ― | ― | 中高一貫 |
| 高校 | 愛光高等学校 | ― | 75(2026年度版) | ― |
| 大学 | 東京大学 | 経済学部 | 67.5(文科二類・2027年度参考) | 卒業 |
※偏差値・難易度は斎藤氏の在学当時ではなく現在の目安です。
高校卒業後は三宮の予備校で1年間浪人し、東京大学経済学部へ進学しました。東京で初めて一人暮らしを始めましたが、本人の回想では授業へあまり出ない生活を送り、駒場で留年しています。
その後、平成不況の影響で家庭の経済状況が悪化しました。一時は大学を辞めることも考えましたが、育英会の奨学金を利用して学業を続けています。
斎藤氏は、奨学金によって学業を続けられた経験から、社会のセーフティーネットを意識したと説明しています。
ここで初めて、セーフティーネットの重要性に気づき、行政、そして政治の道に進むことを考えはじめました。
出典:さいとう元彦公式ウェブサイト「大学生活を送る中で得られたきっかけ」(公開日記載なし)
2025年の県立大学入学式後の発信でも、新入生へ向けて、自身にも迷いや不安を抱えた時期があったことに触れています。
「元彦」の名前と総務省を選んだ理由
大学在学中に行政の仕事を意識するようになった斎藤氏は、国家公務員試験へ向けて勉強し、合格後に官庁訪問を始めました。
進路を考える中で地方自治を所管する総務省に関心を持ち、祖父へ相談した際、自分の名前の由来を初めて聞いたといいます。
祖父によれば、「元彦」という名前は、かつて兵庫県知事を務めた金井元彦氏にちなむものでした。家業を営む祖父は、地域産業や雇用にとって地方自治や首長が持つ役割の大きさを感じていたと、斎藤氏は説明しています。
こうした話を聞き、2002年4月に総務省へ入省し、地方自治の道を歩み始めました。
地方自治の道を志し、いずれ、兵庫のために尽くすことが、入省時に抱いた目標と夢でした。
出典:さいとう元彦公式ウェブサイト「総務省、地方自治を志す」(公開日記載なし)
佐渡市から東日本大震災の被災地へ 地方行政を歩いた約19年
総務省入省後、最初の地方勤務は三重県庁でした。その後は総務省本省や内閣官房で経験を積み、2008年4月に新潟県佐渡市の企画財政部長へ就任します。
佐渡では、トキの放鳥や佐渡金山の世界遺産登録に向けた取り組みに加え、離島の生活に欠かせない航路・空路、市町村合併後の行政運営などに携わりました。2010年4月からは総合政策監を務めています。
2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の後は、飯舘村政府現地対策室へ派遣されました。全村避難が進む中、村長や村職員とともに避難後の防犯体制づくりに取り組んだとしています。
2013年には宮城県総務部市町村課長、翌2014年には財政課長へ。沿岸自治体の人員確保や、震災からの復旧・復興事業に伴う予算編成を担当しました。
2018年4月からは大阪府財務部財政課長を務め、大阪北部地震、台風21号、新型コロナウイルス感染症への対応を含む予算編成を経験しています。2021年3月、大阪府と総務省を退職しました。
斎藤元彦の経歴|2021年の兵庫県知事選で初出馬、初当選
官僚生活を終えた斎藤氏が初めて選挙へ挑んだのが、2021年7月18日の兵庫県知事選挙でした。
無所属で立候補し、自由民主党と日本維新の会から推薦を受けました。当時の兵庫県では井戸敏三知事が2001年から5期20年にわたって県政を担っており、その後を決める選挙でもありました。
斎藤氏は858,782票を獲得し、5候補の中で最多得票となりました。初めての立候補で兵庫県知事選に当選し、8月1日に第53代兵庫県知事へ就任しました。
新しい県政、新しい兵庫県をつくっていくことをこれから頑張っていきます。
出典:兵庫県「知事就任記者会見」(2021年8月2日)
知事就任後は「対話と現場主義」を掲げ、従来の県政事業を見直す行財政改革と、新しい施策への投資を並行して進めました。
| 年月日 | 選挙 | 選挙区・地域 | 所属 | 結果 | 得票・順位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021年 7月18日 | 2021年兵庫県知事選挙 任期満了に伴う選挙。自由民主党・日本維新の会の推薦を受けて立候補。候補者5人。 | 兵庫県 | 無所属 | 当選 | 858,782票 1位 |
| 2024年 11月17日 | 2024年兵庫県知事選挙 2024年9月30日の斎藤氏失職に伴う選挙。候補者7人。 | 兵庫県 | 無所属 | 当選 | 1,113,911票 1位 |
行財政改革と若者への投資を県政の柱に
斎藤県政で継続して打ち出されてきたのが、既存事業を見直す行財政改革と、若い世代へ予算を振り向ける考え方です。
行政委員の報酬については、勤務日数にかかわらず月額で支給する仕組みを見直し、活動実績を踏まえた制度へ変更する方針を示しました。
教育分野では県立学校の環境改善、奨学金返済支援、県立大学等の学費負担軽減、不登校児童生徒への支援などへ対象を広げています。
こうした若年層向け施策は、後に「若者・Z世代応援パッケージ」としてまとまり、教育費の負担軽減だけでなく、出産・子育て、住宅、就労、留学などへ広げられました。
2024年の告発文書問題と県議会の不信任決議
斎藤氏の政治人生が大きく動いたのが2024年です。
同年3月、元西播磨県民局長が斎藤氏ら県幹部に関する告発文書を作成し、関係者へ配布しました。県の対応や文書に記された内容をめぐって問題が拡大し、兵庫県議会は6月に文書問題調査特別委員会、いわゆる百条委員会を設置しました。
県議会では知事の責任を問う動きが強まり、2024年9月19日、「齋藤元彦兵庫県知事に対する不信任決議」が可決されました。
斎藤氏は県議会を解散せず、2024年9月30日に兵庫県知事を失職しました。2021年に得た知事職を、任期途中でいったん失うことになります。
出直し知事選で111万票を獲得し再選
失職した斎藤氏は、再び兵庫県知事選へ立候補しました。
2024年10月の選挙期間前から、本人のXでも再挑戦へ向けた発信が続きました。
11月17日の投開票では、7人の候補者が争いました。斎藤氏は無所属で1,113,911票を獲得し、976,637票だった稲村和美氏らを上回りました。
失職から約1か月半後の知事選で再選し、11月19日に第54代兵庫県知事へ就任しました。
私自身、反省すべきは反省し、生まれ変わる気持ちで、引き続き県政を前に進めていく決意です。
出典:兵庫県「知事 就任あいさつ」(2024年11月19日)
斎藤元彦氏が進めてきた主な政策・政治姿勢
若者・Z世代の教育費負担を軽減
斎藤県政では、高等教育の負担軽減を「若者・Z世代応援パッケージ」の柱に位置づけています。
県立大学等の授業料負担軽減、私立学校への支援、奨学金返済支援、海外で挑戦する若者への支援などを進めてきました。2026年度予算では県立高校の空調利用環境や学校設備の改善、不登校児童生徒支援員の全校配置なども盛り込まれています。
「若者・Z世代応援パッケージ」をさらに拡充します。
出典:兵庫県「知事からのメッセージ」(2026年4月)
出産・子育てから住宅まで若い世代を支援
教育だけでなく、妊娠・出産・子育て、医療的ケア児の通学、若者の住宅や就労なども若年層支援の対象です。
若者が県内で学び、働き、家庭を築きやすい環境を整えるという考え方で、複数分野の施策をまとめて展開しています。
地域そのものを観光資源にする「ひょうごフィールドパビリオン」
地域政策では、大阪・関西万博を契機に、県内各地の産業、食、文化、自然、人の営みを現地で体験してもらう「ひょうごフィールドパビリオン」を展開しました。
万博終了後も一過性のイベントで終わらせず、地域の魅力を発信する仕組みとして継続する方針です。本人のXでも、淡路島の地場産業など現地での体験を繰り返し紹介しています。
震災経験を踏まえた防災・減災
斎藤氏自身、官僚時代に飯舘村や宮城県で東日本大震災後の行政実務を経験しています。兵庫県政でも南海トラフ地震への備えや、阪神・淡路大震災から得た教訓の継承を継続的な政策分野に置いています。
厳しい県財政と行財政改革
2026年度の兵庫県財政は、本格的な金利上昇による公債費負担の増加などから厳しさを増しています。県の試算では2026~2028年度の3年間で約530億円の収支不足が見込まれ、2025年度決算の実質公債費比率が基準を超え、起債許可団体へ移行する見通しとなりました。
このため2026年8月時点では、「財政健全化と未来への投資の両立」が斎藤県政の大きな課題になっています。県は公債費負担適正化計画の策定や財政構造の検証を進める一方、教育・子育て、防災などへの投資を続ける方針を示しています。
斎藤元彦氏をめぐる評価と論点
2024年の告発文書問題は、再選後も斎藤氏をめぐる主要な論点として残りました。
兵庫県が設置した第三者調査委員会は2025年3月19日に報告書を提出し、斎藤氏の言動について10件をパワーハラスメントに当たると認定しました。また、告発者の特定や処分など県側の一連の対応について、公益通報者保護法の観点から違法・不当だったと判断しました。
斎藤氏は同月26日、第三者委員会が認定したパワーハラスメントについて認め、職員へ謝罪する考えを示しました。一方、告発文書への初動を含む県の対応については、その後も適正・適切だったとの立場を維持しています。
第三者調査委員会による公益通報者保護法上の評価と、刑事事件における検察・検察審査会の判断は別の手続です。同じ問題の「有罪・無罪」として一括りにはできません。
2024年知事選をめぐるPR会社への支払いについては、公職選挙法違反の疑いで刑事告発されましたが、神戸地検は2025年11月に斎藤氏らを不起訴としました。その処分についても検察審査会で審査され、2026年6月17日付で斎藤氏について「不起訴相当」と議決されています。
また、元西播磨県民局長の私的情報漏えいをめぐる地方公務員法違反容疑では、神戸地検が2026年3月に斎藤氏を不起訴としました。告発者側は4月に検察審査会への申し立て手続きを始めています。
再選から1年を本人の言葉で振り返る
2025年11月には、再選から約1年を迎える時期にサンテレビのロングインタビューへ応じています。再選後の県政運営や自身の考えを、映像で確認できるインタビューです。
斎藤元彦氏の記者会見をテーマ別に見る
記事本文で扱ったテーマを、本人の記者会見まで深掘りできます。まずは代表的な発言を表示し、関連発言があるテーマだけ追加で確認できます。
若者・子育て支援
「若者・Z世代応援施策というものをしっかり充実、強化していく」
20代やファミリー層に選ばれる県を目指し、奨学金返済支援、妊娠・出産支援、不登校支援など若者・子育て施策を強化する方針を説明した。
南海トラフ地震と防災・減災
「防災・減災対策をしっかりやっていく」
南海トラフ地震などへの備えとして、密集市街地の感震ブレーカー支援や県土強靱化など防災・減災策を進める考えを示した。
地域活力と多様な働き方
「多様な働き方、担い手の確保も努めていきたい」
女性活躍や建設業・林業などの人材確保、ケアリーバーの就業支援を通じ、地域産業の担い手確保と働きやすい環境づくりを進める方針を示した。
※ 内容の要点は公式一次情報をもとに整理しています。正確な文脈・全文は各リンク先の公式資料から確認できます。
斎藤元彦氏の現在情報
2026年度は、若者・Z世代への支援拡充に加え、防災・減災対策や地域の活力を生み出す取り組みなどを県政の主要課題として進めています。
- 生年月日、出生地、学歴、総務省入省、地方行政での職歴、第53代・第54代兵庫県知事就任を確認
- 幼少期、学校生活、大学時代、奨学金、名前の由来、総務省志望理由、官僚時代の経験、公式SNSを確認
- 第53代知事の在任期間、第54代知事の就任日を確認
- 2024年9月19日の不信任決議を確認
- 第三者調査委員会の調査報告書と2025年3月19日の提出を確認
- 2024年11月19日の第54代兵庫県知事就任と再選後の本人発言を確認
- 2026年度の若者・Z世代支援、教育・子育て、防災などの主要施策を確認
- 2026年度以降の財政見通し、収支不足、財政健全化と未来への投資の方針を確認
- 2021年兵庫県知事選挙の候補者、開票結果、初当選を確認
- 2024年兵庫県知事選挙の執行理由、候補者、開票結果、再選を確認
- 2024年知事選をめぐる公職選挙法違反容疑について、2026年6月17日付の検察審査会議決を確認
- 元西播磨県民局長の私的情報漏えいをめぐる不起訴処分と検察審査会への申し立て手続きを確認
この記事の更新履歴
- 2026年10月4日 兵庫県公式プロフィールで知事2期目を再確認。現在情報に変更なし
- 2026年10月2日 学歴後の最初の職歴・政界入りを経歴H2へ再配置し、後続の経歴項目を人物固有H3へ整理
- 2026年10月2日 経歴の続きと重複政策H2をH3へ整理し、高橋光男・岸本周平記事と同じ見出し階層へ統一
- 2026年10月2日 本文内の手動管理ショートコードと監査用の汎用H3を撤去し、WordPress側の自動表示と内容に即した見出し構造へ整理
- 2026年10月2日 主要見出しを「生い立ち・学歴・経歴」の3本柱へ統一し、既存本文を維持したまま検索意図と読みやすさを整理
- 2026年10月2日 本文の重要な年月・当選・就任・退任などを赤文字で強調し、重要箇所の視認性を改善
- 2026年9月28日 自治体公式の知事・市長記者会見等を一次情報としてテーマ別に確認し、一次情報深掘りセクションを追加・更新。
- 2026年8月25日 現況情報を再確認。現在情報スナップショットを登録
- 2026年8月23日 記事を新規作成。現況情報を確認
















