安野貴博氏は、AIエンジニア、起業家、SF作家という経歴を持つ政治家です。政治との最初の大きな接点となったのは、2024年の東京都知事選でした。
選挙ではAIやGitHubを使って有権者の声を政策へ取り込み、その後もデジタル民主主義の活動を継続。2025年には新党「チームみらい」を立ち上げ、参議院議員となりました。
- 開成中高から東京大学へ進み、AI研究、外資系コンサル、AIスタートアップ創業、SF作家と活動の幅を広げた
- 2024年東京都知事選に無所属で初出馬し、テクノロジーを使った参加型の選挙を実践した
- 2025年にチームみらいを結党して党首となり、同年の参院選比例代表で国会議員へ初当選した
小学校3年ごろ、Windows 98から始まったプログラミング
安野氏は1990年12月1日に東京都で生まれ、文京区で育ちました。子どものころからパソコンに親しみ、小学校3年ごろから独学でプログラミングを始めています。
きっかけは、父親が購入したWindows 98のパソコンでした。搭載されているソフトを片っ端から触るうち、Excelの数式からVBAへたどり着き、自分でゲームなどを作るようになったと振り返っています。
中学・高校は開成中学校・開成高等学校へ進学。本人によれば成績は決して上位ではなかった一方、プログラミングに熱中し、硬式テニス部で活動したほか、学校になかった演劇部を立ち上げ、高校生クイズにも挑戦しました。
高校時代には、インターネットで知り合った熊本県、三重県の高校生と3人で「ねみんぐ!」というWebサービスも開発しています。学校の外にいる仲間とオンラインで一つのサービスを作る経験を、10代ですでに重ねていました。
東京大学で松尾豊研究室へ、AIを社会に使う道へ
2009年に開成高校を卒業すると、東京大学理科一類へ進学しました。工学部システム創成学科を選んだ背景には、AI研究で知られる松尾豊氏の存在があったと本人が語っています。
松尾研究室では自然言語処理などを学び、国会議事録を使って、どの議員がどのテーマについて多く発言しているのかを可視化するツールも作りました。卒業研究では、クラウドソーシング上の発注者と受託者をより適切に結びつける仕組みを研究しています。
2014年に東京大学工学部を卒業した後は、ボストン・コンサルティング・グループで勤務しました。2015年度にはIPAの「未踏IT人材発掘・育成事業」に採択され、翌2016年に未踏スーパークリエータとして認定されています。
AIスタートアップを2社創業、SF作家としても未来を描く
2016年にはAIチャットボットを手がける株式会社BEDORE、現在のPKSHA Communicationを創業。2018年には、法律業務をテクノロジーで支援するMNTSQ株式会社を共同創業しました。
AIスタートアップを2社立ち上げる一方、SFの世界でも活動を広げています。『サーキット・スイッチャー』で第9回ハヤカワSFコンテスト優秀賞を受賞し、英国Royal College of Artでも学んで準修士を取得しました。
エンジニア、起業家、作家。一見すると異なる三つの仕事について、2024年の都知事選出馬会見ではこう説明しています。
実際にはテクノロジーを通じて未来を描くというただ一つのことだけをやって参りました。
出典:安野貴博「エンジニア兼作家が東京都知事選挙の出馬表明記者会見をした会見全文」(2024年6月7日)
その活動が選挙へ向かうのは2024年です。本人は後の振り返りで、都知事選への挑戦の始まりには妻からの一言があったと明かしています。
2024年東京都知事選、33歳で初めて選挙へ
2024年6月6日、東京都知事選への立候補を表明しました。それまで議員や政党職員を経験しておらず、選挙への立候補自体が初めてでした。
出馬会見では、AIエンジニア、起業家、SF作家として培った経験を政治へ持ち込む考えを説明しています。
選挙運動では「テクノロジーで、誰も取り残さない東京へ」を掲げました。政策を完成品として発表するのではなく、GitHub上で変更提案を受け付け、有権者の意見を分析してマニフェストを更新する方式を採用しています。
生成AIを使った「AIあんの」では、本人の政策や考えを学習させたAIが24時間質問に回答しました。大量の意見をAIで分析する「ブロードリスニング」も導入し、一方向に政策を伝えるだけではない選挙を試みています。
7月7日の投開票では、154,638票を獲得して56人中5位。当選には届きませんでした。
選挙終了後、今後については次のように記しています。
何らかの形で政治活動には今後も関わっていきたいと思います。
出典:安野貴博「なぜ無名のエンジニアは都知事選で15万票獲得できたのか【御礼と振り返り】」(2024年7月16日)
落選後もコードを公開、デジタル民主主義の活動を続ける
都知事選で作った仕組みは、選挙が終わっても残りました。2024年9月には「AIあんの」、マニフェスト管理用リポジトリ、ポスターマップなどのソースコードをGitHubで公開しています。
同年10月の衆院選では、日本テレビの選挙特番「zero選挙」でブロードリスニングを活用。放送後には、テレビ局と一緒にデータ分析まで行ったことを本人が発信しました。
11月にはGovTech東京のアドバイザーに就任。2025年1月には、民意をより広く集めて政策へ反映する技術を開発・普及させる「デジタル民主主義2030」を立ち上げました。
2025年5月、新党「チームみらい」を結党
行政の外から技術を提供する活動を続ける中で、安野氏は国政へ直接入る道を選びます。2025年5月8日、新党「チームみらい」の結党を発表し、自ら党首となりました。
結党会見では、その理由を短い言葉で表しています。
永田町を変えるには、永田町に入るしかありません。
出典:安野貴博「新党『チームみらい』結党に関する記者会見の全文書き起こし(安野たかひろ)」(2025年5月8日)
都知事選と同様、党のマニフェストも完成後に固定するのではなく、公開しながら改善する方法を採りました。5月にはマニフェストの初期版を公開し、GitHubなどを使って意見や修正案を募っています。
結党直後には、なぜ国会議員を目指すのか、テクノロジーで政治をどう変えるのかといった疑問に本人がまとめて答える動画も公開しています。
2025年参院選で初当選、チームみらいも国政政党へ
2025年7月20日の第27回参議院議員通常選挙では、チームみらいから比例代表に立候補しました。
239,349.018票の個人票を得て参議院議員へ初当選。チームみらい全体では1,517,890.306票を獲得し、比例代表で1議席を得ました。
参議院の公式プロフィールでは、チームみらいがこの選挙で2%を超える得票率となり、公職選挙法上の政党要件を満たしたことも記録されています。
チームみらいは2025年5月に結党され、同年7月の参院選で議席獲得と2%超の得票率を達成したことで国政政党となりました。
国会でもソフトウェアを作りながら政治を変える
国会入り後も、チームみらいは「手を動かす」を掲げています。政治資金の流れを見える化するツールや、国会審議を分かりやすくする仕組みなど、政策提案だけでなく実際のソフトウェア開発も進めました。
安野氏自身も総務委員会などで質問に立ち、行政手続や給付のデジタル化といった論点を扱っています。2025年11月には、参議院総務委員会で質問する内容を事前にXで公開しました。
都知事選で試した「意見を集める」「過程を公開する」「作ったものを再利用できるようにする」という方法を、国政へ移ってからも続けています。
2026年衆院選でチームみらいは11議席へ
2026年2月の衆議院議員総選挙では、安野氏自身は参議院議員のため立候補していません。チームみらいは全国の比例代表で3,813,750票を獲得し、11議席を得ました。
前年の参院選で安野氏1人が国会議員となった党は、この衆院選を経て衆院11人・参院1人の国会議員を擁する体制へ拡大しました。
| 年月日 | 選挙 | 選挙区・地域 | 所属 | 結果 | 得票・順位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年 7月7日 |
東京都知事選挙
初出馬。AIやGitHubを活用した参加型マニフェスト、ブロードリスニングなどを実施
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東京都 | 無所属 | 落選 | 154,638票 5位 |
| 2025年 7月20日 |
第27回参議院議員通常選挙
参議院議員初当選。チームみらいは全国で1,517,890.306票を獲得し1議席を得た
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比例代表 | チームみらい | 当選 | 239,349.018票 1位(チームみらい名簿登載者3人中) |
チームみらいが掲げる政策と安野貴博氏の政治姿勢
2026年衆院選でチームみらいが掲げた公約では、「未来に向けた成長投資」「今の生活への支援」「テクノロジーによる行政・政治改革」を大きな柱としました。ここで扱う内容は党が掲げた公約であり、すべてが制度化・実施済みという意味ではありません。
子育て減税とAI・ロボットなどへの成長投資
子どもの数に応じて所得税率を引き下げる「子育て減税」を掲げています。経済成長策では、AI、ロボット、自動運転など新産業への投資を重視しています。
社会保険料の負担軽減を優先
家計への支援では、消費税減税より社会保険料の引き下げを優先する方針を示しました。高額療養費制度を守り、病気や障害があるときにも治療を受け続けられる制度を維持する考えも掲げています。
申請しなくても届く行政と政治資金の透明化
行政分野では、対象者が複雑な申請をしなくても支援が届く「プッシュ型」の給付を提案しています。政治改革では、デジタル技術とルール整備を組み合わせ、政治資金の透明性を高める方針です。
2026年8月時点の安野貴博氏
2026年8月時点では、比例代表選出の参議院議員1期で、チームみらい党首です。内閣官房デジタル行財政改革戦略チーム構成員、東京都AI戦略会議委員も務めています。
参議院では8月20日時点で総務委員会、行政監視委員会、デジタル社会の形成及び人工知能の活用等に関する特別委員会に所属しています。
エンジニアとして始まった「作って試す」という活動は、スタートアップ、都知事選、デジタル民主主義のプロジェクトを経て、国会での制度づくりへ移っています。
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生年月日、学歴、BCG・起業歴、2024年東京都知事選、デジタル民主主義2030、チームみらい結党、2025年参院選初当選、選出区分、当選回数、2026年8月時点の委員会所属を確認
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東京都生まれ、東京大学、松尾研究室、BCG、BEDORE、MNTSQ、SF作家としての経歴を確認
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2026年8月時点の党首、参議院議員、党所属国会議員、内閣官房デジタル行財政改革戦略チーム・東京都AI戦略会議での役割を確認
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開成高等学校卒業歴を確認
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2015年度未踏IT人材発掘・育成事業への採択と開発テーマを確認
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2024年東京都知事選への立候補理由、職歴の捉え方、政策、ブロードリスニング、GitHub、AI活用を確認
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2024年都知事選結果、参加型マニフェスト、選挙後の政治活動継続方針を確認
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チームみらい結党、党首として国政を目指す理由、デジタル民主主義に関する方針を確認
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2026年衆院選公約、子育て減税、成長産業投資、社会保険料、高額療養費、プッシュ型給付、政治資金透明化を確認
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2024年東京都知事選の党派、得票数を確認
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2025年参院選比例代表の当落、安野氏の全国個人得票、チームみらい全体の全国得票を確認
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小学生時代のプログラミング、開成中高での生活、Webサービス開発、東京大学で松尾研究室を選んだ経緯、大学での研究を確認
この記事の更新履歴
- 2026年8月21日 記事を新規作成。現況情報を確認














