平井伸治氏は、自治・総務官僚として国と地方の行政を往復したのち、鳥取県の選挙政治へ転じた人物です。行政の実務感覚と、県の規模を逆手に取る発想が、その後の県政にも表れてきました。
東京・神田で育った少年時代から、自治省での地方行政、鳥取との出会い、知事への転身、全国知事会での活動まで、その歩みを時系列でたどります。
- 国と地方の行政現場を経験し、鳥取県との関係を深めてきた自治・総務官僚出身の知事です。
- 人口規模の小ささを機動力に変え、子育て、共生、地域発信などで独自の施策を展開してきました。
- 県政に加え、全国知事会などを通じて地方自治、人口減少、危機管理をめぐる全国的な議論にも関わってきました。
平井伸治の生い立ち|東京・神田で育ち、開成から東京大学へ
平井伸治氏は1961年9月17日、東京都千代田区で生まれました。本人は故郷を「東京の秋葉原という電気街、今で言うと外神田」と表現しており、下町の空気の中で少年時代を過ごしています。
神田の街では、地域の祭りも身近な存在でした。後年のインタビューでは、子どもの頃の姿をこんなふうに振り返っています。
子どもの頃は2年に1度の神田祭に出て神輿を担いでいましたね。
出典:ライブドアニュース「『カニはいるけどカネはない』 ダジャレ知事に聞く 鳥取県の”勝手に広まる”PR戦略」(2022年3月30日)
平井伸治の学歴|開成高校から東京大学法学部へ
| 区分 | 学校名 | 学部・専攻 | 現在の偏差値・難易度 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 中学校 | 開成中学校 | ― | ― | 中高一貫 |
| 高校 | 開成高等学校 | ― | 77(2026年度版) | ― |
| 大学 | 東京大学 | 法学部 | 67.5(文科一類・2027年度参考) | 1984年3月卒業 |
※偏差値・難易度は平井氏の在学当時ではなく現在の目安です。開成高校は2026年度版、東京大学法学部は文科一類を参考値として掲載しています。
中学・高校は開成中学校・開成高等学校へ進み、その後、東京大学法学部に進学しました。1984年3月に東京大学法学部を卒業し、翌4月から自治省で働き始めます。
公開されているプロフィールでは、中学・高校時代の部活動や学校生活の細部までは多く語られていません。確認できる範囲では、開成中・高から東京大学法学部へ進み、卒業後すぐ地方行政の道へ入ったという流れが学歴上の大きな特徴です。
平井伸治の経歴|自治省で地方行政を歩き、鳥取との縁が生まれる
自治省では本省だけでなく、地方自治体へ赴任しながら行政実務を経験しました。1990年に福井県市町村課長、1992年には同県財政課長を務め、市町村行政と地方財政の双方に携わっています。
1995年には米国へ派遣され、その後も地方制度や税財政に関するポストを歴任しました。国の制度を扱う仕事と、地方の現場で行政を動かす仕事を往復していきます。
鳥取県との本格的な関係が始まったのは1999年です。鳥取県へ赴任し、総務部長に就任しました。本人は初めて鳥取へ向かったとき、日本海と空の境目が分からないような景色を飛行機から眺め、「これからどうなるんだろう」と感じたことを後に語っています。
暮らしてみると、海や温泉、山の近さ、新鮮な食材など、東京とは異なる生活環境に触れました。一方で、県外にはそうした魅力が十分伝わっていないとも感じていきます。
2001年6月には、当時全国最年少で鳥取県副知事に就任しました。総務部長として県庁内部を経験した後、県政全体を支える立場へ進んだことになります。
2005年には総務省へ戻り、自治行政局選挙部政治資金課政党助成室長を務めました。翌2006年6月からは自治体国際化協会ニューヨーク事務所長として、再び海外で勤務します。
ニューヨーク勤務から鳥取県知事選へ
ニューヨーク勤務中、かつて鳥取で一緒にまちづくりに取り組んだ関係者や地元議員から、鳥取へ戻ってほしいという声が届きました。それまでの平井氏は選挙で選ばれる政治家ではなく、行政官として仕事をしてきた人物です。
2007年2月に総務省を退職し、鳥取県知事選へ進みました。行政官として約23年歩んだ後の転身でした。
4月8日の鳥取県知事選では無所属で立候補。232,897票を得て、対立候補を破りました。初めての選挙で鳥取県知事に当選し、公選の首長として県政を担うことになります。
官僚時代は制度を作り、自治体を支援する側でした。知事になってからは、限られた財源や人口規模の中で、どの政策を実際に動かすのかを自ら判断する立場へ移りました。
度の知事選と全国知事会長初当選後、2011年、2015年、2019年、2023年の知事選でも当選を重ねました。選挙管理委員会の記録では、5回の知事選はいずれも無所属としての立候補です。
県政と並行して、地方自治をめぐる全国的な役割も増えていきます。地方分権推進特別委員会委員長、新型インフルエンザ等対策に関する政府会議の構成員などを務めました。
新型コロナウイルスの感染拡大期には、全国知事会の緊急対策本部で本部長代行などを担当しました。都道府県が感染状況や医療提供体制をそれぞれ抱える中、国との調整にも関わっていきます。
2021年の全国知事会長選では40人の知事から推薦を受け、無投票で当選。同年9月、第14代全国知事会長に就任しました。
期待をされているぶん、裏を返せばそれだけ責任が大きい。
出典:自治体通信Online「同じマインドをもつ47人が団結し、新型コロナウイルスに立ち向かう」(2021年12月22日)
会長在任中は、医療提供体制、感染防止、経済対策などについて、47都道府県の意見をまとめながら政府へ提言しました。コロナ禍で増えたウェブ会議も使い、従来より短い間隔で各知事が協議する運営が定着していきました。
全国知事会長の任期は2023年9月まで。その後は会長指名による副会長へ就任し、全国知事会での活動を続けています。
小さな県を機動力に変える行政運営
平井県政をたどると、人口の少なさを単なる弱点として扱うのではなく、政策決定や実行の速さにつなげようとする考え方が繰り返し現れます。
つねに知恵を絞り、スピーディに実行に移すことですね。
出典:自治体通信Online「知恵と行動力があれば小自治体こそ武器 『スモール イズ ストロング』なんです」(2016年9月25日)
2016年のインタビューでは、県庁内のペーパーレス化、説明資料を重複して作る作業の削減、組織階層の簡素化などを紹介しています。行政内部の手続きを軽くすることで、政策に使える時間を増やそうとしました。
人口が60万人を割ったことを受けて進めた移住定住政策でも、支援窓口の整備、空き家の水回り改修、「お試し住宅」、農林水産業への就労支援など、生活を始める際に障害となる部分へ施策を広げました。
平井氏自身は、この発想を「スモール イズ ストロング」と表現しています。大規模自治体と同じ手法を追うのではなく、小規模だからこそ住民や現場との距離を縮められるという考え方です。
「子育て王国」と人口減少への取り組み
人口減少への対応では、移住と並んで子育て政策を大きな柱にしてきました。2010年には「子育て王国とっとり」の取り組みを始め、保育や出産、子育て世帯への支援を段階的に広げました。
2014年には子育て支援を継続して進める枠組みとして「子育て王国とっとり条例」が施行されました。中山間地域や多子世帯の保育料負担、不妊治療、子どもの医療、産後ケアなど、ライフステージごとに施策が組み合わされています。
2024年3月には、「シン・子育て王国とっとり計画」を策定しました。計画期間は2024年度から2028年度までで、毎年度、若者や子育て当事者の意見、実態調査などを踏まえて見直す仕組みです。
平井氏は少子化を地方だけで解決する問題とは捉えておらず、国による制度整備にも言及しています。
国がリーダーシップをとることは重要だ。
出典:中央日報日本語版「出生率を向上させた『子育て王国』鳥取県知事の魔法」(2024年5月24日)
学生時代の手話との出会いを制度へつなぐ
平井氏と手話との接点は、知事になってから始まったものではありません。学生時代、日本赤十字のボランティア活動で手話に触れ、社会人になってからは神戸市の手話ボランティアスクールを修了しています。
だから私の手話は「神戸なまりの関西弁」。
出典:関西広域連合「平井伸治委員『手話は言語だ』」(2021年9月3日)
知事就任後、県の公聴会では、ろう者から「手話を言語だと認めてほしい」という声が寄せられました。県は研究会を設けて制度設計を進め、2013年10月、全国初となる鳥取県手話言語条例が成立しました。
条例後は、手話教材の配布、学校への関連図書配置、遠隔手話通訳、手話講座、知事会見での手話通訳などへ施策を広げました。
2016年7月には33道府県で「手話を広める知事の会」が発足し、平井氏が会長となりました。翌2017年には47都道府県が参加する組織へ広がっています。
同会は2024年、国に対して手話に関する法律の早期制定を求める意見書を提出しました。2025年6月には「手話に関する施策の推進に関する法律」が全会一致で成立し、同月25日に公布・施行されています。
「キャッチフレーズ」で鳥取を外へ伝える
政策とは別に、平井氏の人物像をよく表すのが言葉を使った情報発信です。その意識が強まった出来事の一つが、ニューヨーク勤務時代にありました。
飛行機で隣り合わせた米国の知事が、テレビ出演に備えて身ぶり手ぶりを交えながら何度も練習している姿を目撃しました。行政の内容だけでなく、相手へ届くように表現する必要があると意識するきっかけになったと振り返っています。
鳥取県が全国で唯一スターバックスの店舗がない県だった時期には、「スタバはないけどスナバがある」という言葉が大きく報じられました。準備していた詳しい県の説明より、短いフレーズの方が広く伝わった経験から、言葉の使い方を県外発信へ生かしていきます。
自分ではキャッチフレーズだと思っている
出典:山陰中央新報デジタル「平井 伸治 氏」(2023年3月23日)
その後もカニ、砂丘、星空、漫画やアニメなど、鳥取にすでに存在する地域資源と話題性を組み合わせた発信を重ねました。広告予算の規模で競うのではなく、ニュースとして取り上げられる入口をつくる方法です。
産業・デジタル・医療へ広がる県政課題
長期の県政では、人口政策だけでなく、産業振興、地域交通、医療、防災、デジタル化など扱う領域も広がっています。直近の施策も、過去の政策を維持するだけでなく、新しい技術や社会環境へ合わせて更新されています。
2026年8月の定例記者会見では、最低賃金引き上げを見据えた中小事業者の価格転嫁・賃上げ環境整備を補正予算案へ盛り込む考えを示しました。企業側が人件費上昇を価格へ適切に反映できる環境づくりを支援するものです。
同じ会見では、AIとAXを使った産業変革も打ち出しました。AIロボティクスの開発・実装、人材育成、県内企業への伴走支援などに約7,000万円を用意する補正予算案を検討しています。
県中部では分娩件数の減少を受け、県立厚生病院の周産期医療機能を強化する方針も示しました。母子同室病床や個室の拡充、設備整備を通じ、妊娠から出産、産後ケアまで地域で支える医療体制を維持する狙いです。
平井伸治氏の記者会見動画
鳥取県が公開している定例記者会見では、県政課題について平井氏本人が説明する様子をまとまった時間で確認できます。
平井伸治氏の記者会見をテーマ別に見る
記事本文で扱ったテーマを、本人の記者会見まで深掘りできます。まずは代表的な発言を表示し、関連発言があるテーマだけ追加で確認できます。
給付付き税額控除と地方財政
「国が責任持つというのが本筋」
給付付き税額控除の財政・事務負担について、所得再分配に関わる制度は国が責任を持つのが基本であり、地方と十分協議すべきだと述べた。
原発・プルサーマルの安全確認
「安全を第一義として、慎重にまずは審査を尽くしていただきたい」
島根原発3号機やプルサーマル計画について、周辺地域として専門家の知見を踏まえ、安全を最優先に慎重な審査と説明を求める姿勢を示した。
避難所の感染症対策
「避難所改善プロジェクト、これをこれから始めたい」
空気清浄機やテント、換気を組み合わせ、災害関連死や感染症リスクを減らす鳥取方式の避難所改善プロジェクトを進める方針を説明した。
※ 内容の要点は公式一次情報をもとに整理しています。正確な文脈・全文は各リンク先の公式資料から確認できます。
平井伸治氏の現在情報
県政では人口減少・子育てに加え、賃上げと価格転嫁、AI・AXによる産業変革、周産期医療、防災などを2026年度の政策課題として扱っています。県外でも人口戦略、医療、地域航空、手話など複数分野の自治体連携を担っています。
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| 年月日 | 選挙 | 選挙区・地域 | 所属 | 結果 | 得票・順位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2007年 4月8日 | 鳥取県知事選挙 初当選 | 鳥取県 | 無所属 | 当選 | 232,897票 1位 |
| 2011年 4月10日 | 鳥取県知事選挙 2選 | 鳥取県 | 無所属 | 当選 | 255,367票 1位 |
| 2015年 4月12日 | 鳥取県知事選挙 3選 | 鳥取県 | 無所属 | 当選 | 234,291票 1位 |
| 2019年 4月7日 | 鳥取県知事選挙 4選 | 鳥取県 | 無所属 | 当選 | 225,883票 1位 |
| 2023年 4月9日 | 鳥取県知事選挙 5選 | 鳥取県 | 無所属 | 当選 | 200,442票 1位 |
- 生年月日、学歴、鳥取県総務部長・副知事・知事歴、全国知事会長歴、2026年までの主要役職を確認
- 自治省入省、福井県勤務、米国派遣、鳥取県総務部長、副知事、総務省政党助成室長、ニューヨーク事務所長、知事5期目を確認
- 東京都千代田区出身、東京大学法学部、自治省在職期間、鳥取県副知事、ニューヨーク事務所長、2023年時点の公式Twitter欄を確認
- 学生時代の手話経験、神戸市の手話ボランティアスクール、鳥取県手話言語条例制定までの経緯を確認
- 2024年3月の計画策定、2024年度から2028年度の計画期間、2026年度版の継続状況を確認
- 手話に関する施策の推進に関する法律の2025年6月18日成立、同月25日公布・施行を確認
- 2026年度の賃上げ・価格転嫁支援、AI・AX、周産期医療、防災など直近の県政課題を確認
- 2007年、2011年、2015年、2019年、2023年の全知事選の党派、得票数、当落を確認
- 移住定住、子育て、県庁改革、行政運営、「スモール イズ ストロング」の考え方を確認
- 全国知事会長就任、新型コロナ対応、国と地方の連携、知事会運営を確認
- 開成中学・高校、東京大学法学部、自治省、米国勤務を含む略歴を確認
- 東京・神田生まれ、鳥取との縁、地域資源への考え、情報発信、移住・子育て政策を確認
この記事の更新履歴
- 2026年10月2日 H2過多を整理し、主要章はH2、経歴イベント・政策細目はH3へ統一。本文内容は削除せず維持
- 2026年10月2日 学歴後の最初の職歴・政界入りを経歴H2へ再配置し、後続の経歴項目を人物固有H3へ整理
- 2026年10月2日 本文内の手動管理ショートコードと監査用の汎用H3を撤去し、WordPress側の自動表示と内容に即した見出し構造へ整理
- 2026年10月2日 生い立ち・学歴・経歴の本文に人物固有のH3小見出しを追加し、長文の視認性と検索意図の整理を改善
- 2026年10月2日 主要見出しを「生い立ち・学歴・経歴」の3本柱へ整理し、既存本文を維持したまま検索意図を明確化
- 2026年10月2日 本文の重要な年月・当選・就任・退任などを赤文字で強調し、重要箇所の視認性を改善
- 2026年9月28日 自治体公式の知事記者会見等を一次情報としてテーマ別に確認し、一次情報深掘りセクションを追加・更新。
- 2026年9月8日 記事を新規作成。鳥取県知事5期目の現況、全5回の知事選、全国知事会での役職、2026年度の主要政策情報を確認・反映




















